今回は京都府笠置町にある「天然わかさぎ温泉 笠置いこいの館」の御紹介。

JR関西本線の笠置駅を降りて道なりに左(東)へ進み、T字路を右(南)に進むと3分ほどで到着する。JR奈良線や片町線(学研都市線)・東西線からだと木津駅と加茂駅の2回、関西本線だと加茂駅で亀山方面行きへ乗り換えることになる。なお加茂駅-笠置駅間は日中1時間に1本しかないうえ、第2土曜日の日中は全便運休するため、あらかじめJRおでかけネットなどで調べたうえでおでかけを。
なお上記の運休日には加茂駅西口との間に無料のシャトルバスが30分毎に運行される。加茂駅からは10時30分から16時30分までの間、いこいの館からは11時から17時までの間、毎時0分と30分に出発する。加茂駅側の乗り場は改札を出て右手にある西口階段を降りた目の前にある。なお運行時間は変更される可能性もあるので、利用される際には各自御確認を。
加茂駅から東側は2両編成のワンマンカーがのんびりと運転しており、加茂駅を出てしばらくすると急に人家もなくなり、木津川沿いを山肌にへばりついて走ることになる。乗車時に整理券を取って乗るという、まるでバスのような運行方法である。




笠置駅に着いて、運転手に乗車券を手渡して下車する。当然駅のほうは無人駅なのかと思いきや、ちゃんと駅員らしき人はいる。ひょっとすると業務委託をされている人なのかもしれないが、非常に不思議な光景である。切符の自動販売機もあるが、オレンジカードやJスルーカード、ICOCAなどは一切使えない。
さて先ほども書いたように、駅からはすぐに到着する。ただし人家の陰に隠れているため、駅から温泉の建物は見えない。週末などは他府県ナンバーの車で一杯になり、辺鄙なところにあるにもかかわらず、大変な人気のようである。玄関前には各種の工芸品などを販売する出店もある。

玄関の自動販売機で入浴券を購入して、靴箱の鍵とともに受付へ渡し、ロッカーの鍵を引き換えに受け取る。ここの最大の特徴は最入館が可能であること。館内の食堂や休憩室を利用したあとの再入浴が可能なだけでなく、館外への外出も可能なのである。その際にはロッカーの鍵を一旦受付へ返し、引き換えに靴箱の鍵と再入館券を受け取る。再入館の際には別の番号のロッカーへと変わるので、必ず外出の際にはすべての荷物を持って外出することをお忘れなく。
再入館券には「館外に出られた場合は無効」と書いてはあるが、これを靴箱の鍵と一緒に手渡されるのである。当然館外へ出ることを前提としており、不思議な但し書きである。実際これを持って館外へ出ているお客さんも多い。地元の人なら一旦家に戻り、また再度入浴するといったことも可能であろう。ちょっとうれしいシステムである。ただし周囲にはこれといったお店がほとんどない。笠置山などへのハイキングに行ったり、木津川で水遊びをするぐらいであろうか。

上の写真にもあるとおり、低張性・弱アルカリ性・低温泉の含弱放射能-ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉であり、泉温は32.2度、湧出量は不明である。館内の表示によると、加水なし・加温・循環あり、消毒は営業中に銀イオン使用、営業終了時には塩素使用とのことである。
以前は特殊な形状のロッカーを使用しており、少々使い方がわかりにくかったのだが、2006年9月に通常の形のロッカーと入れ替わった。なおロッカーにはあらかじめフェイスタオルとバスタオルが用意されており、タオルを持参する必要はない。以前はタオルが使い放題だったようだが、公衆道徳心が欠けていた客も多かったと見られ、このような形に変更になったようである。でも受付で手渡ししたほうが効率がよいと思うのは私だけであろうか。それとも何かの理由であえてこのような形になったのだろうか。
浴室内には深さの違う2つの加温浴槽、寝ながら入れるジェットバス・打たせ湯・加温なしの源泉を使ったジャグジー・低温乾式サウナなどがあり、それぞれ花の名前がついている。浅いほうの加温浴槽にはスロープがあり、館内備え付けの入浴用車椅子を使って入浴することができる。一般の温泉設備でこのような設備があるのは非常に珍しい。その他にも各浴槽には手すりがあり、高齢者などへの配慮がいたるところになされている。
循環・消毒されてはいるが、典型的なつるぬるの湯であり、非常にとろりとしている。特に加温していないジャグジーへ入るとその泉質のよさがわかる。浴後も肌がすべすべする。幸いにもあまり消毒臭は気にならない。水風呂がないので、サウナの後にこのジャグジーへ入ると非常に気持ちがよい。ただし入る前にはかかり湯をすることをお忘れなく。露天風呂もあるが、こちらは上水を利用してあり、温泉ではない。
1階には外部からも利用可能で食事も取ることができる喫茶&レストランコーナーがあり、2階の大広間は食堂となっている。地元の人たちも利用しているとあってか、値段も高くないうえ味も悪くない。地元特産の雉を利用したきじ飯(840円)やきじ飯定食(1575円)・きじ鍋(1575円)などもあるが、比較的早くに売り切れることも多いようなので、御希望の方はお早い目に。雉は特に癖もなく、なかなか美味である。
その他にも茶所ならではの地元産のほうじ茶を用意してある休憩室や、照明を落とした男女別の仮眠室もあり、ゆっくりと休養することができる。外出ができることも相まって、こういった設備を利用すると一日中滞在することも可能である。入浴料が1000円から値下げされたこともあり、かなりお得感が高まった。回数券やポイントカードを併用するともっと安く入ることも可能である。ちなみに公式サイトのトップページを印刷して持参すると、大人100円・子供50円の割引がある。
他にも片道1時間圏内の無料送迎が付いた宴会パックや、地元の旅館とタイアップした山間宿泊・湯治プランもあり、いろいろな使い方ができる。
大阪や京都からたった1時間で行くことができる大自然の中の温泉、周辺でのハイキングやキャンプ・河原でのバーベキュー・カヌーなどと合わせて訪れるのもよいであろう。