出港してしばらくすると船の中でモロッコへの入国手続きが始まる。かなりの行列ができるので、早い目に列へと並ぶ。船にはレストラン・免税店などがあり、たくさんの自家用車も搭載されている。ヨーロッパから自家用車で旅行する人たちが多いようである。そのうちタンジェへと到着。朝8時ごろには着くはずだったのが、なぜかしら10時になってようやく到着。
港へ着くとポーターが数人寄ってくるが、それほどしつこくはない。ガイド志望者は一人もいない。かつてタンジェはモロッコの中でも一番客引きやガイド志望者が多く、ここでいやになってスペインに引き返した旅行者も多かったそうだが、今やその面影はない。政府の取締りが功を奏しているようである。
港近くの両替窓口で両替をしようとするが、トラベラーズチェックは扱わず、現金しか両替できないといわれてしまう。とりあえず日本円を3000円ほどだけ両替する。ちなみにモロッコではほぼどこでも日本円の両替ができ、わざわざドルやユーロに替えていく必要はない。またところどころにATMもある。
フェズへ行くには列車のほうが速くて快適なので、できれば列車で行きたかったのだが、数年前に港近くの駅がなくなり、5キロも離れたところに駅があるのでバスで行くことにする。国営CTMバスの乗り場なら港のすぐ横にあるので、民営バスではなく12時発のCTMに決める。
とりあえずバスターミナルで荷物のチェックインを済ませて街をぶらつく。このときに預り証をもらうのを忘れずに。なお荷物を預けるのは有料である。またターミナルの内外にはいろいろな人物がいて荷物を渡せ、運んでやると言ってくるが、これらはみんなチップ狙いの者なので、絶対に相手にしないように。必ず自分の手で正規のカウンター内にいる係員に手渡すのが鉄則である。
正直言ってそれほど見所のある街ではない。ターミナル近くのレストランで早い目の昼食を済ませ、バスに乗り込む。結果としてはバスを選んだことは正解であった。列車は変化のない平坦な土地を行くのに対し、バスのほうはリフ山脈を越えてティトゥアン・シャウエンといった街を経由していくので、窓からの景色がなかなかよいのである。
途中数回の休憩をはさんでフェズに到着。夕方6時ごろには着くと思っていたのだが、結局日もとっぷりと暮れた8時になって到着する。この日は感謝祭(Easter)のため安いホテル・中級ホテルともにどこも満室であり、9時半になってようやく新市街地に空き室が見つかる。