とりあえずあたりのカフェで朝食を取る。ごく普通のクロワッサンにアラブでは一般的なミントティー。過剰な甘さではあるが、乾燥した気候の中では口に合う。
メインの道は2本並行して東側にある広場へ通じており、この2本の道が一番人通りが多いので、人の多いほうへ歩いていればあまり迷うこともないのである。入り口のほうから広場へ向かっての急な斜面の上にメディナが作られており、それが構造を一段と複雑にしている。
いろいろなものを売ったり作ったりしているスークを見ながら歩き回る。食料品のスークでは鶏を生きたまま売っており、その場で絞めてくれる。確かに新鮮な素材である。これで調理法さえ豊富ならば・・・・・・。とにかくアラブ圏では調理法が限られているのが最大の悩みである。われわれのように昨日はしょうゆ味、今日は味噌味、明日は塩味などという発想はないようである。
それにしてもメディナの中は実に複雑である。坂を上ったり下ったり、突然建物の下の闇を通り抜けるかと思えば急に明るいところへと出てくる。その光と闇が交差することこそがメディナの魅力であろう。
メディナの中で5年前に訪れたカフェを発見。じゅうたん屋の屋上がカフェになっており、ミントティーを注文してから上へと上がる。屋上からはフェズのメディナを眺めることが出来るのだが、いかに複雑な構造をしているのかが手に取るようにわかる。