カフェにて休んでいると、一人の現地人が声をかけてくる。ここの経営者とは知り合いらしく、経営者のほうも名札を見せながら「私はガイドではない」とわざわざいってくる。別に悪い人間ではなさそうなので、多少の警戒心は持ちながらも会話を続ける。「友達が札幌にいる」などお決まりのパターンの会話を続け、わたしが今夜の夜行バスでエルフードに行き、そこからメルズーガを目指すことを告げると、エルフードよりもその先のリッサニへ行き、そこからメルズーガへ行ったほうがいい、エルフードは見るものもないと告げられる。
そのうち「このメルズーガのホテルに泊まったことがある。ここはよかった」といいながら、ホテルのカードを見せられる。どうせ友達か何かのホテルだろうと思いつつも、とりあえず話だけは聞く。「もしよければ、リッサニまで迎えに来るように電話しておく。」といわれるが、それは断りカードだけもらう。
そのうち彼のおじさんだと称する人間が現れ、「私は公務員だ。彼から仕事場へ行くところだ。」といい出す。そして、「もしよければわたしの仕事場まで来ないか。」といわれる。普段のわたしならまずついては行かないのだが、それほど悪い人間にも見えず、またある程度地理のわかっていることもあり、ついて行くことにする。
帰る道順を頭に入れながら彼らの車に乗り、おじさんのほうのうちへ行く。道すがらおじさんのほうは公営のじゅうたん屋に勤めており、ここでは女性の生活を支援するために彼女らの作るじゅうたんを販売しているのだと説明する。じつは明らかに同じ人物だと思われる人間の話を偶然Web上にて発見してしまったのである。詳しくは下をクリック。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~travel/610.htm
http://www5a.biglobe.ne.jp/~travel/611.htm
http://www5a.biglobe.ne.jp/~travel/612.htm
彼のうちに行った後、その後近くの店へ連れて行かれ(他にも外国人観光客が歩いているのを見て、とりあえずは安心する)、このじゅうたんはいらないか、スパイスはいらないか、なにか交換するものは持っていないかとい言われる。をいをい、彼の仕事場へ行く話はどうなったんだと思いつつ、まったく興味がない、つまらないという表情をする。
そこで彼らもあきらめたらしく、ホテルまで送ってくれることになる。途中ガソリンスタンドに寄った際、「ガソリン代をちょっと持ってくれないか」といわれ、頭にきて車を降りる振りをすると、慌てて止められ、結局新市街まで送ってもらう。ちょっとむかつきはしたものの、最初のカフェで支払いをしなかったことを思い出し、「まあいいか」と考え直す。やはり安易に人にはついていくものではない。
CTMバスの乗り場に行き、エルフード行きの切符をリッサニ行きに交換してほしいというと、「車掌に5DH払えばいい」といわれ、そのまま21時発のバスに乗り込む。運賃95DH。バスは新市街地のターミナルを出て旧市街地のバスターミナルを経由、その後市外へと出る。
国営のCTMバスだったため乗り心地は悪くないだろうと思っていると、座席も倒れず間隔も狭くて落ち着いて寝ていられない。あまりバス運賃の変わらないトルコのバスとは大違いである。おまけにモワイヤン・アトラスの山越えがあり、カーブの続く道を走るため、本当に疲れてしまった。昼間の便なら眺めもいいのだろうが。