6時10分のパスでマラケシュの鉄道駅へ向かう。今回は Supratours (スープラ・トゥール)というバスなのだが、この会社は国鉄の直営であり、マラケシュなどの駅を起点に鉄道のない地域へ路線を持っている。エッサウィラのほかにもアガディール・ワルザザート・タンタンなどへバスを走らせており、鉄道との連絡切符も買うことができる。料金は若干割高ではあるが、他の会社と違い荷物代も取らず、設備もよいのでお薦めである。なお他のバス会社とは乗り場が違うので注意が必要である。鉄道駅のあるところでは駅に隣接して乗り場が設けられている。
8時30分マラケシュ駅到着。9時発フェズ行きの列車に乗る。ほとんどのコンパートメント(個室)に客が乗っており、空室はない。長旅のため、ちょっとでも人のよさそうな客が乗っている個室を探し回る。幸いにも人のよさそうな学生たちが乗っているコンパートメントに空き席があり、ここに決めるが、これが大正解であった。
彼らはこれから首都のラバトへエコール・テクニーク(日本では技術系大学(もしくは大学院)に あたるのだろうか)の入学試験を受けに行くところらしい。「日本のどこからきたのだ。」と聞かれて「××からだ。」と答えると、「あの○○会議のあったところか。最近▲▲が脱退の意向を示したでしょう。」と返事が返ってくる。どうやらかなりのエリートたちらしい。
これまでどんな国に行ったのだ、モロッコの印象はどうだったなどと聞かれ、そのうちに日本人の平均収入などに話が及ぶ。多い人だとこれぐらい、少ない人でもこれぐらいはあると説明すると、モロッコではとても考えられないといわれる。でも、彼らは肝心なことがわかっていない。収入が多くても、その分支出も多いのだということを。
モロッコ人は簡単に日本へ入れるのかと聞かれ、旅行者としてなら3ヵ月はビザなしで入ることができるが(未確認情報によると、最近不法就労者が増えてビザなしでは入れなくなってしまったらしい)、労働ビザを取るのは非常に難しい、モロッコ料理の調理など特別な技術があれば別だが、と答えておく。
また理科系の学生らしく、ポワンカレやコーシー・シュワルツの話が出てきたり、この数式を日本での読み方で読んでくれと頼まれる。
そのほかにも、アガディールの旅行代理店のときと同じく日本や周辺諸国の地図を描き、位置関係を説明する。日本の北の端から南の端までの緯度差が約30度であり、これはスカンディナビアの北の端からイベリア半島の南の端までの差に等しいと説明すると、そんなに広いのかと驚いた様子である。
いつも思うのだが、海外に行くときには地図帳を持っていったほうがよい。アジアを離れると日本・韓国・台湾・中国・ロシアなどの位置関係すらわからない人間たちがほとんどなのである。
日本が熱帯にあると思っている人間もざらであり、4月ごろだと一番北の北海道ではまだスキーができるが、一番南の沖縄ではもう泳ぐことができるというと、たいていの人間はびっくりする。やはりわたしの友人のQさんのように地図帳を持ち歩くのは正解である。ただし、英語で地名が併記してあるもののほうがよい。
ラバトで彼らと別れ、旅を続ける。モロッコの列車は乗り心地もよく、時間も正確であり、バスよりも速いためお薦めなのだが(マラケシュ-カサブランカ-メクネス-フェズ間の幹線は電化されている)、唯一の難点は食堂車がないことである。小さなチーズ入りパンが12DHもする。バスなら途中で道沿いのレストランに入れるのに。あえてもう一つの難点を挙げれば、車窓からの風景がバスに比べて単調なことであろう。
14時50分シディ・カセムに到着。ここにてフェズ発13時30分の列車に乗り換える。30分の乗り換え時間中に駅前でちょっと遅い昼食でもと思ったのだが、駅前は工場ばかりで何の店も人通りもない。
15時20分シディ・カセムを出発。本当に単調な風景が続く。18時15分タンジェ・モロラ駅に到着。同室だった年配の女性が「まだタンジェではない。」というようなしぐさをするが、乗客は全員下車している。駅員に切符を見せて確認すると、ここで降りなさいという。同室の女性はここから市内までの路線が廃止されたことを知らないらしい。慌てて二人して降りる。
駅前にはたくさんのタクシーが止まっているが、どれも軒並み吹っかけてくる。どの車もおまえ一人で乗っていけといってくるがそれを断りつづけていると、オーストラリア人旅行者たちがこのグランタクシーに乗っていけと誘ってくれる。
ちなみに駅を出ると、線路と直角に交わるようにタンジェ-ティトゥアン-シャウエン-フェズ間の幹線道路が走っている。駅から向かって左側がタンジェ市内、右側がティトゥアン方面である。市内バスや長距離バスもここを通っており、ここから市内バスでタンジェに向かったり、ティトゥアン方面行きの民間バスをつかまえることができるかもしれない。
グランタクシーを降りる段階になって15DHも吹っかけてくるが、10DHだけ払ってその場を離れる。しつこい客引きに付きまとわれるが、それを断り自分でホテルを探し出す。
新市街にある Restaurant Populaire という魚料理の専門店を訪れる。「地球の歩き方」に書かれていることと違い、大変すいていたが(ただし、予約済みの席もあった)、ウエイターの対応は大変好感が持てる。また客筋もかなりよいようである。
説明によると100DHと150DHのコースがあり、100DHのほうは魚のタジン、150DHのほうは魚のグリルだとのこと。グリルのほうを注文する。最初にナッツ類、引き続いて魚のスープが出てくる。スパイスも効いておらず、大変あっさりしている。
そのうち胃腸にもよいというミントの飲み物を勧められる。追加料金がいるのかどうかはわからないが、とりあえずもらうことにする。砂糖も何も入っておらず、口の中がすっきりする味である。
ついにメインである魚のグリルが登場する。それといっしょにジュースはどうか、と勧められる。値段はわからないがとりあえずもらう。かなり濃い味のジュースである。杏のジュースなのだろうか。
デザートとしてイチゴに濃厚な甘いソースとナッツがのったものが出てくる。その上さらにウエイターはチェリモヤも出してくれる。チェリモヤというのは、見かけは東南アジアで見かけるシュガーアップル(お釈迦様の頭のような果物)、味はアボガドとドリアンの中間のような味で、においはなくバターのようにねっとりとして大変おいしい。アンダルシアが原産地らしく、スペインではよく見かける。和歌山でも作っているらしいが、日本ではかなり高かったように思う。
さらに山盛りのびわまで出してくれるが、もう手がつけられない。食後のミントティーも断り、支払いを済ませる。合計がいくらになっているのか心配であったが、結局150DHだけでよかった。つまり飲み物もすべて含まれていたのである。ウエイターも実に明るく楽しい人であり、お薦めの店である。
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また日本人にとってはあまりなじみのないキューバ・イラン・モロッコの旅行記もお薦めです。こちらもご覧ください。
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2001年04月24日
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