昼食は宿の主人の妹さんの家にてとるらしい。家に招かれて中に入ると、中庭にシートがひかれており、その上に食事類が用意されている。ふと儀づいたのだが、その妹さんもベールを着けていない。つまり自宅の中であるからベールを着ける必要がないのである。私がイランで見たベールを着けていない唯一の女性ということになる。ここで彼女の娘さんも見かけたのだが、彼女が「地球の歩き方・イラン編」でバムのトップページの写真に載っている人形を抱いている女の子だそうだ。
食事を終えて、いよいよアルゲ・バムへと向かう。ここにはかつて多数の人々が住んでいたのであるが、敵による数度の侵略を受けた後、住人たちはこの町を放棄することになる。その廃墟がアルゲ・バムである。廃墟といっても政府による修復工事が進んでおり、いつまで今の荒涼とした雰囲気が味わえるものなのかはわからない。非常に行きにくいところではあるが、ぜひ行っていただきたい場所である。(注:残念ながら2003年12月26日の大地震によりすべてが崩壊)
あてもなく廃墟の中を彷徨いつづけ、一番上へとたどり着く。あたりを見回すと、砂漠の中でバムの街だけが緑に囲まれているのがよくわかる。単調ではあるがいつまで眺めていても飽きない風景ではある。下へ降りる途中にあるチャイハネにて一休み。
チャイハネを出て、城砦全体を見えるところに向かい、夕焼けを待つ。真っ赤に染まった城砦の姿を期待していたのだが、残念ながら雲が出てきてしまい、いまいちであった。
そのあと街へ戻る途中でタイ人のK君、続いてヤズドの沈黙の塔にて出会った神奈川のXさんに再会する。決して小さくはない国のはずなのに、今回は何度も何度も再会することが多い。
バムの街中もイランの正月であるアーシュラーのためか、小さい街にもかかわらず行き交う人の数は多い。