まずは今夜の宿探し。冷房つきの部屋でゆっくりとするのは一晩だけで十分なので、もっと安いところをあたる。見つけたのは近くにある New Palm Tree Hotel。エアコンもテレビもないが、植民地時代の面影をよく残した建物の中で玄関は吹き抜けの高い天井、そして2階には大きなテラスがあり、その周りに客室が配されている(左上の写真は2階のテラス)。スタッフの感じも良く、朝食つきで1400シリング(2500円)とのことなので、ここに決定する。元のホテルをチェックアウトし、こちらへチェックイン。
とりあえず手持ちのケニアシリングが底を尽きたため、近くのATMでキャッシングを試みる。ところがこのATMが海外発行のカードが使えないものだったため、わざわざそのATMにいたガードマンが他の銀行のATMまで案内してくれることになる。
その後ムスリムたちが多く住むオールドタウンへと移動。ところが入ってすぐにある男性から声をかけられる。基本的に観光地あたりで向こうから声をかけてくる者には極力警戒して相手にしないようにはしているものの、それほど怪しそうな様子もないので、それなりに会話を続ける。
男が言うには本人は田舎に住んでおり、娘がこのあたりの会社に勤めているとのこと。そうこうしているうちに「娘が世界の切手を集めているので、もしよければ日本の切手を送ってくれないか」とのこと。その程度のことならかまわないかと思って同意すると、早速男は文房具屋に入って封筒を購入。彼の住所を書いた上で手渡される。同時に「これはあなたの家族へでもあげてくれ」とおもちゃのブレスレットのようなものを渡される。どうせ安いものには違いないが、断りづらいこともあり、とりあえず受け取る。
ところがここから話がおかしくなる。男が「こちらの習慣では約束を忘れないように、約束をしたものが相手にいわしを買って送る習慣がある。だから娘にいわしを買って渡してくれ。」と言ってくる。??? なぜそんなことを? このあたりから彼に対する疑念が再び頭を持ち上げる。そこで「とにかく切手は送るから」と言ってやんわりと断る。それでも男は執拗に同じことを繰り返し言ってくる。そこで渋々男と一緒に魚屋へと向かう。ただし裏道へ入りそうになって場合にはその場で逃げ出す心構えをした上で。
程近くの魚屋へと到着。彼が買うようにと指差したのは大きな魚の切り身。その値300シリング(約540円)。一食分の値段である。??? これがいわし? どう見てもいわしには見えないのですが。再び男は「これを娘に買ってやってくれ。忘れないように。私の言うことがわかるか?」と繰り返す。「申し訳ないが、あなたの意図がわからない。」と答え、封筒とおもちゃのブレスレットを返す。とたんに男は表情も変えずにその場を立ち去る。
はてさて、この男の本当の意図はなんだったのだろう。単にその日の夜の食材を買わせようとしたのか、あるいは本当にそんな習慣があるのか。どちらにせよ物を送ってもらおうとする相手に何かを買ってくれというようなことを要求するような習慣に従う気にはなれない。
再び1人で歩き出したところ、思っていたのとは違う場所にたどり着いてしまう。ちょうど海に面した場所で、そこにあるトンネルの奥には浴槽があり、かつてアフリカ各地から集められた奴隷がその中に浸けられ、健康状態を選別した上で再びザンジバルへと送られて、アメリカなどへ奴隷として送られていったいう悲しい歴史を持つ場所。
日中の強い日差しを避けて昼寝した後は再びオールド・タウンへ。海に面したフォート・ジーザス博物館の入場料一覧に目をやると、ケニア人100シリング・東アフリカ共同体諸国民(つまりタンザニア・ウガンダ人のこと)・外国人400シリング(720円)の表示。あまりの差のつけ方にばかばかしくなり、入るのをやめる。後で聞いた話だが、2年前までは外国人も200シリングだったらしい。
フォート・ジーザスの前で1人の男につかまる。男は私とすれ違おうとしていたのだが、私の姿を見たとたんに付きまとい始め、「あれは○○だ、それは××だ」と勝手に観光案内を始める。大体この手の人間にろくな者がいないのは常なので徹底的に無視をするのだが、それでもこの男はあきらめない。最終的に「これ以上付きまとわないでくれ」と言い渡して追い払う。
海側へ出たところは公園のようになっており、たくさんの人々が集まっている。地元の若者たち数名に声をかけられ、色々と会話をする。そのうちの1人は以前衣類の仕入れのために中国の内陸まで行ったことがあるらしく、色々とそのときの話をしてくれるのだが、どうもあまり中国や中国人に好感を持っていないのが言葉の端々から伝わってくる。これは次に入るタンザニアでより強く実感させられることになるのだが、アフリカ全域で中国、より正確には中共や中共人に対する反感が強まっているらしい。
ふと横を見ると左上の写真の男性が何やら飲み物を売っている姿が目に入る。彼らに聞くとアラビックコーヒーとのことで、スイートとブラックの2種類があり、お薦めはミックスとのこと。早速たのんでみると、生姜とカルダモンなどがよくきいており、いかにものどによさそうな味。思わずおかわりを注文。
だんだん暗くなり始めたところで、ホテルへと戻る。日が沈んだ後のモンバサの街は急に人気がなくなるが、街のいたるところで銀行のATMが24時間稼動しており、その前には必ずアスカリと言われるガードマンが夜中でもいる。通るたびに「Jambo!」と挨拶をされ、こちらも返事を返しているうちに顔を覚えられてしまい、人通りが少ない時間帯であっても彼らがいてくれるという安心感からか、夜の遅い時間であってもあまり不安感を感じることは少ない。





