とまりんから海沿いに500mほど北上すると漁連市場へとたどり着く。目的は市場の中にある「まぐろ食堂」である。ほとんどのメニューが500円程度のこのお店では、どのメニューをたのんでもまぐろの中落がたくさんついてくるのである。
私はここではいつも味噌汁500円也を頼むことにしている。味噌汁といっても味噌汁茶碗に入って出てくるわけではない。どんぶり一杯に島豆腐やら様々な野菜が入った味噌汁が出てくるのである。これは沖縄の大衆食堂で一般的に見られるメニューの一つである。
ところで漁連市場にたどり着くと、この正月にはなかった建物ができている。中では魚やすしなどの小売りもしている。

こちらの建物を一通り見てまわってから旧来の市場のほうへ入る。ところが様子がおかしい。まぐろ食堂があったはずのところには全く別の業者が入っている。そこで市場の人に聞いてみたところ、5月に新しい建物ができた際、まぐろ市場ともう1軒あった喫茶スタンドが立ち退きになったとのこと。移転ではなくて廃業してしまったらしい。仕方なく元へ戻ることにする。
お昼はゆいレールに乗って首里へ。といっても首里城に向かうのではない。首里そばという有名な沖縄そばのお店のおそばとを試してみようというわけである。平日のお昼だけにお店を開け、1日60色しか用意していないという店の実力はどれほどのものなのか自分の舌で確認してみたかったのである。
首里駅から歩いてほどないところにそのお店はある。店の前にはガイドブックを片手にした観光客の行列が。少々この辺に不安を感じる。かなりの待ち客がいるのだが、回転は早く、意外に早くに席へ着くことができる。
早速そばとジューシー(沖縄風炊き込みご飯)を注文。程なくして注文した品が出てくる。早速そばに箸をつける。かなり歯ごたえは強い。他のお店と比べるとかなりしっかりとしたこしがあるのは事実のようである。出汁のほうも鰹などのの魚介類から取った出汁と豚骨などから取った出汁をうまく合わせているようであり悪くはない。また値段も手ごろではある。でもわざわざゆいレールに乗ったうえでしかもこれだけの行列に並んでまで食べたいかというと・・・といったところである。まあ話の種としては決して悪くはない。
続いて儀保まんじゅうへと向かう。希望者には筆で赤字の「の」という文字を入れてもらえるため、通称「のまんじゅう」とも呼ばれている。店に入ると蒸したての饅頭が箱に入ったまま何箱も積み上げられており、人気の程がわかる。実際ある会社の車が何十個もの饅頭を仕入れていった。おそらく得意先か何かに配るのであろう。

饅頭を注文すると前記のように「の」の字を入れるかどうかを聞かれ、そのあとに月桃の葉に包まれて手渡される。包んでもらったあとすぐに食べるのではなく、できればしばらく時間を置いてから食べるほうがいい。というのも、そのほうが月桃の香りが饅頭に移るからである。


お昼になって「民謡の花束」を聴こうとしてラジオ沖縄をつけたのだが、いつまでたっても始まらない。後で調べてみると、なんと平日の番組は終わって週末の放送となり、しかも番組の構成も大きく変わったらしい。放送していた国際通りにあるわしたショップ内のサテライトスタジオもなくなっている。平日お昼の楽しみの一つだったのに、残念。
首里をあとにして安里へと向かう。安里駅の隣には栄町市場が広がっている。昔から観光客の多い牧志公設市場や「ちゅらさん」で田中好子が働く場所として撮影に使われてから観光客が増えた与儀の農連市場と違い、ここは相変わらず地元の人々しか見当たらない。



もっとも最近はこのあたりにも新しいバーなどができ始め、徐々に若い人たちの姿も増え始めている。市場の中をうろうろしていると、以前には見かけなかったこんなお店に出会った。



写真を撮っているとお店の前に座っていたご主人に招かれ、お店の中へ。昨年会社を定年退職されたあと、この場にお店を開かれたとのこと。昔懐かしい看板や清涼飲料水の瓶が所狭しと並べられている。ご主人自身が集められたものやお友達から譲ってもらったものばかりだそうである。お店で流れるBGMはちょっと懐かしい歌謡曲が中心。ほっとできる空間である。



なお台湾との貿易のお仕事をされていたようで、その関係か台湾の食材も売られており、また店内では各種の点心なども食べることができる。落ち着いた雰囲気に手ごろなお値段。
市場歩きに疲れたときには最高の休憩場所であろう。まだ開店して1年ながら常連のお客さんもたくさんおられるようである。
昭和茶屋 TEL:098-885-0550 午前9時開店 火曜定休
夕方になって宿へと戻り、荷物を引き取って那覇新港へと向かう。いよいよこれから八重山へと向かうのである。出港1時間半前にもかかわらず、多くの人たちが行列を作っている。ちょうどこの日は有村産業と琉球海運の両社が同時刻に船を出すためである。中には空席待ちであるにもかかわらず、乗船券引取りの列に並んでしまって話をややこしくした挙句、窓口の係員に怒鳴りつけているものもいる。たしかに整理しない職員たちにも問題はあるが、状況を自分で判断できない客の側にも大いに問題がある。大の大人がみっともない。混沌とした中で何とか乗船券を受け取り、送迎バスに乗って船へと向かう。

有村産業の「飛龍」はバブルの真っ只中に作られたクルーズ船であり、バーやカフェ、カラオケルーム、ダイビングの練習用プールなど様々な設備がそろっている。ところがそのほとんどが閉鎖されており、使用することができない。採算が取れないのであろう。
船内の受付で部屋の指定を受け、自分の部屋へと向かう。2等船室は2段ベッドの6人部屋で、部屋ごとにシャワーとトイレがついている。したがって同室の客に恵まれるとすこぶる快適なのだが、そうでない場合には・・・。
出港時間が近づき、甲板へと向かう。那覇の街並みがどんどん遠ざかっていく。那覇空港の沖合いでは飛行機が離発着する様子も見ることができる。

甲板ではゆんたくするグループや三線を弾いているものもいる。これもいつもながらの光景である。そのうち食事の用意ができたとのアナウンスが入り、レストランへと向かう。

一般的に船の上での食事は割高なことが多いのだが、上の写真に写したメニューを見ていただければわかるとおり、あまり市中と変わらない値段設定である。ただし朝食だけは多少割高である。今回は中味汁を頼んだ。豚の内臓をよく洗って、生姜などで味付けしてあるのだが、全くにおいもなく、美味である。食事が終わってから星空などを見て過ごすのだが、あまりにも手持ち無沙汰なため、部屋へと戻ってさっさと寝ることにする。ところが後に同室の客に恵まれていないことに気づくのである・・・。
11時ごろになって同室の客同士の話し声で目が覚める。確かテレビの音を小さくしておいたはずなのだが、いつの間にか大きくなっている。やがて片方の客が床に就くのだが、もう一人はテレビを見たままである。音を小さくする様子もない。12時をまわって番組が終わってもまだテレビを切ったり音を小さくしたりする様子もない。さすがに注意してテレビを消させる。ところが・・・。