
石垣の離島桟橋。八重山の島々へ行く船と人々が行き交う。
今日は朝から快晴。海もべた凪状態。天候次第ですぐに欠航するこの航路もさすがに今日は無事運行するようである。平田観光にて乗船券を購入。ここでは八重山観光フェリーと波照間海運の乗船券を扱っているのだが、ここだとクレジットカードで購入できるため、現金の持ち合わせが少ないときには助かるのである。


左から波照間海運のニューはてるまと安栄観光の第七十八あんえい号。どちらも波照間航路に就航している。
今日は観光客と旧盆で島へ帰る人たちなどで船はほぼ満席である。前半30分ほどは内海を行くためほとんど揺れもない。外海へ出てからを心配したのだが、こちらでもほとんど揺れない。1時間足らずで最南端の島に到着である。
桟橋では見慣れた顔がずらりと並んでいる。出迎えの車を見つけて乗り込む。程なくして宿に到着。早速仲間と合流したところ、某唄者のおうちに「召集」がかかっていると告げられる。というのも、昨夜ムシャーマの練習を終えたその唄者が12時過ぎに突然宿を訪れたところ、客の中に2組のカップルがいることを知り、突然2人の男性に「お前ら、彼女と結婚する気はあるのか」と迫ったらしいのである。さすがにそう聞かれて「いえ、結婚する気はありません」と答えられる男はいない。そこで早速翌日にその唄者の家で結婚式の真似事のようなことをすることに決まったのである。ちなみにみんな寝たのは2時半らしい。おかげで寝不足そうな顔をしている。本当は快晴の中、海へ向かおうと思ったのだが、ちょっといかつい唄者からの「厳命」。さすがに断るわけにはいかない。2時ごろには終わるらしいので、とりあえず付き合うことにする。
唄者のお家に到着。早速飾り付けをはじめる。豪華なものは何もないが、あだんの実やいろいろな花、あるいは紙に2組の名前を書いたもので部屋を飾りつける。その傍らでその唄者は料理を作る。実は元ホテルのコックだったとのことで、その腕もなかなかのものである。鶏肉や豚肉を塩で煮込み、丹念に灰汁をすくっていく。


やがて料理の用意もでき、いよいよ宴が始まる。本当に何もないが、心だけは十分にこもった集まりに女性たちが感極まって涙を流し始める。おそらくどんな豪華な結婚式より思い出に残るだろう。


2組の愛の誓いが終わったあとで三線の演奏へ。


結局お開きになったのは6時前。本当は当の唄者はまだ続けたかったようなのだが、宿からの電話で渋々われわれを解放する。ちょっとほっとした気分。

宿へ戻るとすぐに夕食が始まる。いつもはかなり手の込んだ料理が出てくるのだが、さすがにこの時期は連日のムシャーマの練習で疲れているのか、石垣から取り寄せたオードブルなどもあわせて出てくる。またふだんなら泡波も出てくるのだが、最近はあまり流通していないらしく、八重泉だけが出てくる。それでも食事時に泡盛まで出てくるのはありがたい。
宿泊者のうちの何組が星空観測タワーへの送迎を希望したため、われわれはそれを見送り、宿の前でゆんたくを続ける。見る見る間に泡盛の瓶も空いていく。昨夜同様に「唄者」が宿を「襲撃」しないかと心配していたのだが、どうやら杞憂に終わったようである。11時ごろに就寝。